硝子細工のマトリョーシカ (講談社ノベルス)のレビュー

終わりが見えない
黒田氏らしいストーリーであった。タイトルにあるとおり、「マトリョーシカ」のようなプロットなのだ。物語がいくつも入れ子状になっていて、読み進めていくうちに、どれが(物語における)現実でどれが芝居なのかが分からなくなっていく。そして、最後に明かされる「現実」が!
 プロットとしては満足すべきレベルにあると思う。しかし、個別の事件に使われているトリックが弱い。ちょっと不満が残る。
現実と創作が、回転扉のように…
 主人公・晋太郎の恋人は、今をときめく芸能人兼推理作家の才媛・美内歌織であった。彼女の企画した生放送サスペンスドラマ「マトリョーシカ」公開がせまるおり、ドラマ放映を中止しろとの脅迫が届く。それは1年前の大物アイドル自殺と彼女の元恋人の変死の謎を明らかにするドラマらしく…。

 う~ん。トリック至上主義!というだけはあって、そういう感じの本です。技巧はあるよね、とは思いますが、はまりきることが出来なかったなあ。
 作中作たるドラマと現実が多重に絡み合いつつ進行していくのだが、このドラマ部分が少し冗長かも。私が魅力を感じる登場人物がいないせいでそう思ってしまうのかな。

 アイドルヲタの安藤レオくんは楽しいキャラでしたね。彼が出て来ると、話の展開が遅れるけれど、もっとレオくん活躍させて欲しいです。

ふつう
粗が目立つプロットだが、それは設定の複雑さゆえということで我慢できる。設定の複雑さが謎を呼び、その意味では楽しめる。もっとも、生中継ドラマ中の現場をうろちょろできる主人公の立ち位置は御都合主義的にすぎる。